昨日、神楽坂で・・

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文鳥堂書店

a0292705_19302741.jpgどういうわけか、神楽坂を上がってくるとここで本を買いたくなる。まったく持って理由はないのだけど。
それにとりたてて、神楽坂っぽいと言う特徴も無いように思う。ホント普通の本屋さんです。

「横道世之介」は文庫になったら買おうと思ってたので買っただけです。そして、私はブックカバーは手作りするので、いつものように(レジ袋を断るように)ブックカバーは結構です。って言おうとしたんだけど・・。そんなスキを与える前に、今時珍しい客の目前で折込みカバーを鮮やかにつけてくれたので、嬉しくなったってしまいました。

よく考えたらワタシ、飯田橋東口の「飯田橋書店」で数十年前にアルバイトをしていたんです。まだおつりの出ないレジで必死で暗算して、ブックカバーもつけて。そんな事を思い出しちゃった。

a0292705_19304552.jpg「よく味はふ者の血とならん」
武者小路実篤の言葉もちょっといいでしょ。

ま、サネアツっていうと竹中直人の「サネアツ!」が浮かんじゃうけどね。

a0292705_19331172.jpgそして今なんやかんや、頼りにしている神楽坂のガイドブックも以前ここで買ったんでした。

そうそう、「神楽坂さんぽ」は先述の「いきいき」の編集部が作ったガイドブックです。


〈余談ですが、「横道世之介」の感想を〉
1987年、地方から大学進学のために上京してきた横道世之介の入学から一年間の話です。友達が出来て、バイトとサークルに明け暮れて、彼女が出来て、盆と正月に帰省して・・・っていう話です。地方から出てきて大学生活を始めると言うのは夏目漱石の「三四郎」に似ています。(因みに私は「三四郎」がマイフェイバリット小説ナンバーワンです。)

で、この小説。近々高良健吾で映画化されるぐらいの情報しか持ってなかったのだけど、この一人の大学生を描く青春小説は外堀を挟む神楽坂の対岸の某大学が舞台でした。外堀の土手の歩道とか飯田橋のロッテリアとか所々この界隈が登場します。「学祭の打上げは神楽坂の居酒屋ね。」とかね。

ストーリーはこれと言ったドラマチックな展開は無いけれど、瑞々しく描かれた一人の普通の大学生を、友人たちが懐かしく思うという構成が独特です。「三四郎」は主人公があれこれ悩む姿に共感するのだけど、この主人公はあんまり悩みません。それがまた朗らかで若々しい好青年を上手く描いているようです。

だれもが経験してきたような平凡だけど懐かしい話に、最後は目頭が熱くなっていました。『悪人』でも泣かされたこの作家、改めてみたら私と同世代でこの舞台になった大学出身でした。つまり、私と同じ大学だったってことです。共感する部分が多いはずです。実際すれ違っていたかも知れません。

だからか余計にこの青春小説をリアルに感じてしまって・・。冒頭の入学式のすぐ後の友達のセリフ『ここは滑り止めだった。早稲田受け直すわ。』って言うのは、私も実際言われましたからね。そういうポジションを受け入れた覚えがあります。当時はバブル絶世期でしたが、この小説のように全くバブル感の無い学生生活でした。飯田橋の書店で地味にレジのバイトをしていたんですから。でもこの大学の学生はそんな人が多かったように思います。
大学生活なんてホント人生の中でのたった四年間に過ぎないのに案外深く残っているものです。勉強は役に立ったとは言い難いけど、これを読んで実はとてもキラキラした時間だったような気がしました。

当時は、カナルカフェも無かったし、神楽坂なんて「(大盛りの)神楽坂飯店に誰かがチャレンジした」とかって話しを聞くぐらいで。行くのは坂下の「村さ来」とか「養老の滝」ばかりでした。

卒業して何十年もたっているのに何の因果か神楽坂に夢中になってる現在の私。あのころの未来ってやつね。ま、それはそれでいーか。


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by kagurazaka-m | 2013-01-16 18:29 | 本・文学・人物